「プールの生物調査(ヤゴ救出作戦)」について

     

「ヤゴ救出作戦」の1コマ

 

 シーズンオフのプールは水が緑色に濁り、まるで自然の池のようです。このような 環境を生物たちが放っておくはずはなく、プールは、ヤゴをはじめ様々な水生昆虫の重要な生息地になっています。

しかしこれらの生物は、プール掃除の時に全て流されてしまう運命にあります。よって、その前に一斉に採集し、校内にある「オタマ池」に放す活動を、幼稚舎では4・6年生で行っています。題して「ヤゴ救出作戦」

幼稚舎では、「ヤゴ救出作戦」は単なる1回きりのイベントではなく、約半年間にわたって行う「プールの生物調査」の中の1パートとして位置づけています。

 

 

「プールの生物調査(ヤゴ救出作戦)」の内容を早く知りたい人はこちら

  


  

 「ヤゴ救出作戦」 Q & A

  

Q1  プールに生き物なんているの?
A いるんです!

慶應義塾幼稚舎は都心にあります。しかも交通量の多い道路に囲まれ、敷地に接して首都高速道路もあります。にもかかわらず、毎年たくさんのヤゴやヒメゲンゴロウなどの水生昆虫が、水泳授業後のプールに定着します。おそらく他の学校でも同様ではないか、と思います。

生物は人間が思っている以上にたくましく、ちょっとでも利用できそうな環境があれば、すぐに進出してきます。

学校プールは、立派な「水辺空間」である、と言えるでしょう。

                      
Q2 幼稚舎には自然が多いの?

A 都会の学校にしては、多い、と言えます。

Q1にもあるように幼稚舎は都会の学校です。しかしそのわりには自然が豊かです。校内には池が2つあり、ギンヤンマをはじめ多くのトンボが定着しています。また、ヒキガエルが毎年約30匹「オタマ池」に訪れ、繁殖しています。他にはアオダイショウも例年姿を見せています。
                      
Q3 どんな生物が、プールにいるの?

A ヤゴ(トンボの幼虫)や小型のゲンゴロウ、マツモムシなどです。

他にもユスリカ類の幼虫(アカムシ)や、フタバカゲロウの幼虫などが、プールの底に見られます。これらがヤゴの主なエサになっているのでしょう。

プランクトンももちろん発生します。植物プランクトンはクロレラが主に見られます。動物プランクトンでは昨年3〜4月、ヒゲナガケンミジンコが大量に発生しました。

上は幼稚舎の例ですが、別の学校ではプールの生物相も異なったものになるでしょう。非常に興味深いところです。

                      
Q4 どんな種類のヤゴが、プールにいるの?
A 主にアカトンボや、シオカラトンボのなかまです。
プールには水草がありません。したがって、水面に直接産卵するアカネ属(アカトンボのなかま)や、シオカラトンボのなかまが多くなります。イトトンボやギンヤンマなど、水草に卵を産みつける種類(植物組織内産卵)は、普通見られません。

しかし意図的に陸上の草本をプールに投入すると、ギンヤンマやアジアイトトンボなどが多量に移入・定着します。簡単な環境の改変で、プール生物相はドラスティックに変化します。

                      
Q5 「ヤゴ救出作戦」は、幼稚舎のオリジナル?
A いいえ、全国各地で行われています。

現在、各地で行われ始めており、幼稚舎同様、「ヤゴ救出作戦」と呼ぶところもあるようです。どこも同じ発想のようです。

平成12年からは、「ヤゴ救出ネット」プロジェクトを主催しています。全国の諸学校と連携してプールの生物調査を行い、互いのデータを共有、交流を深めています。プールでのヤゴ採集を単なるイベント授業で終わらせず、教材として、より有効に活用することを目指しています。  

プールは、都会では失われて久しい、水生生物と触れ合うことの出来る貴重な「水辺空間」として、十分機能すると思います。これを活用しない手はない、というのが幼稚舎の姿勢です。

                      
Q6 プール生物を対象にした研究・実践例は他にもありますか?
A あります。
詳しくは文献・リンクをご覧下さい。

なお本校の例は、日本生態学会や日本生物教育学会、日私小連全国教員夏季研修会等で毎年発表しています。

                        

  

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