トンボ豆知識
3.プールで見られるヤゴの種類の調べ方
ステップ-1 4タイプに分ける

ヤゴの段階で種レベルの同定を行うのは難しいため、学校教育、特に小学校では、ヤゴの形態から以下の4タイプに分けるまでが適当と思われます。

 

(1)アカトンボ型 (2)シオカラトンボ型 (3)ヤンマ型 (4)イトトンボ型

 

この作業なら、小学校4年生でも可能です。4タイプへの分け方はこちらをご覧下さい。

 

 

ステップ-2 種を同定する

種の同定は、基本的には飼育・羽化させて、成虫で行った方が楽であり、また確実です。

しかし、プールは「水辺環境」としては非常に単純な環境のため、定着できるトンボの種類が限られます。よって、少ない候補の中から種を絞り込んでいくことになるため、最初にある程度の情報が用意されていれば、およその目星はつけることはできます。

以下に、学校プールに定着するヤゴの主要種について、その同定法を簡単に紹介します。このwebの性格上、専門的な知識や、観察眼を要する完全な検索表を紹介するより、ルーペ1つで誰もが行える「簡便な」手法で、「だいたいこのあたりだろう」というところまでわかるような、同定法を用意しました。よって、ここで紹介する方法は完全なものではなく、あくまで名前調べの一つの手がかりとして、参考にしていただければ幸いです。

(1)アカトンボ型

(2)シオカラトンボ型

(3)ヤンマ型

(4)イトトンボ型

なお、プール以外の環境で採集されたヤゴについては、図鑑類で調べた方が確実です。

 


 

(1)アカトンボ型

プールで最も多く見られるのが、アカトンボ型のヤゴです。同定のキーとなるのは、腹部第8節の側棘(そっきょく)の長さです。

  

 

アカトンボ型ヤゴの羽化殻(うかがら)

第8節側棘の長さに注目

・タイリクアカネとコノシメトンボ

共に学校プールで非常に多く見られるヤゴです。両種とも、腹部第8節側棘の先端が、第9節の末端にとどきません。

関西地方のプールではタイリクアカネが多いようですが、関東〜中部地方ではタイリクアカネはほとんどみられません。本校でも、過去4年間タイリクアカネは全く確認されず、アカトンボ型ヤゴの大部分はコノシメトンボでした。

関西ではよく似た両種が共に見られるので、区別は困難なようです。一般的には、下唇に褐色の斑点があるのがタイリクアカネ、ないのがコノシメトンボとされていますが、これも絶対ではないようです。

 

・アキアカネ

第8節側棘の先端が、第9節の末端にちょうどとどきます。

本種はアカトンボとして、最も普通に見られるトンボですが、プールではあまり見られません(全くいないわけではありません)。田んぼなど、水深が低く、底が泥質の環境を好むせいでしょうか。

 

・ノシメトンボナツアカネ

共に第8節側棘が長く、先端が第9節の末端を越えます。

 

・ショウジョウトンボ

本種のヤゴはアカトンボ型ですが、分類上はアカトンボの仲間(アカネ属)ではなく、トンボ科ショウジョウトンボ属に含まれます。

背棘がなく、側棘が非常に短い点から区別できます。プールではあまり見られません。

 

・ウスバキトンボ

春のプールでは見られず、9−10月頃の秋のプールで多量に見られるヤゴです。本種は暖かくなってから南西諸島から渡ってくるトンボで、世代を繰り返しながら日本列島を北上していきます。しかし日本の冬を越すことはできず、死滅してしまいます。

側棘が長いのが特徴です。

 


 

(2)シオカラトンボ型

シオカラトンボ型のヤゴのほとんどは、シオカラトンボです。たまにオオシオカラトンボが混ざります。シオカラトンボは背棘(はいきょく;上図参照)がなく、オオシオカラトンボには背棘がある点から区別できます。

 


 

(3)ヤンマ型

プールに草を投入すると、植物組織内産卵のヤンマ類のヤゴが、多く見られるようになります。これらのヤンマ型ヤゴは、普通はギンヤンマである場合が多いようです。  念のため飼育・羽化させて確認しましょう。

 


 

(4)イトトンボ型

プールにくさを投入すると、ヤンマ型と共に発生しやすくなるのがイトトンボのヤゴです。アジアイトトンボやアオモンイトトンボ等が見られる例が多いようですが、ヤゴの段階での種の同定は易しくありません。成虫にしてから確認しましょう。

 


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